先週から一斉に、いろいろな学校や塾などの習い事で「オンライン授業」や「リモートレッスン」が開始されています。
「リモートワーク」や「オンライン会議」は、もはや社会人だけのものではなく、休校を飛び越えて子ども達の学習環境にまで介入してきました。
ここで心配になってくるのは、子どもたちの健康です。
オンライン授業を学校が導入するということは、子ども達のメディアに対する健康への影響を土返ししてでも推し進めないといけないほど、事態は悪化しているということが予想できますね。
であれば、オンライン授業に対する子どもの健康管理に関して、今、私たち「親」が何ができるかを考えていくべきであると思い、この記事を書きました。
子どもが受けるブルーライトの影響
オンライン授業への対策
新年度がスタートして、もうすぐひと月。
一向に収束しそうにない新型コロナウィルスに対して、子ども達の学力低下への不安も日に日に増すばかりな中、新たな方向に歩き出した子ども達をちゃんとフォローしてあげたいですね。
それでは始めます。
もくじ
ブルーライトってなに?
スマートフォンやパソコンから出る青い光ブルーライト。この光を「なんとなく目が疲れそう」と認識している人も多いのではないでしょうか。
ブルーライトの浴び過ぎは、目の疲れだけではなく、睡眠に影響を与えたり、網膜への傷害を与えたりといったことが懸念されています。
ブルーライトは、波長が380~500nmの領域にある青色光のことです。ヒトの目で見ることのできる光=可視光線の中でもっとも波長が短く、強いエネルギーを持っています。太陽光や白熱灯にもブルーライトは含まれますが、パソコンやスマートフォンなどのLEDディスプレイやLED照明には、とくに多く含まれています。
近年、省エネ化でLEDが普及したことで、ブルーライトの量が増えています。放出量がとくに多いのは、現代人の生活に欠かせない「スマートフォン」といわれています。
出典:ブルーライト研究会
過度にブルーライトを浴びることは体内リズムを乱したり、目に傷害を与えたりすることが指摘されています。厚生労働省でもパソコンなど液晶モニターがある「VDT機器」で作業する際のガイドラインで取り上げています。
この「VDT(Visual Display Terminals)作業」は、近年のIT(情報技術)化の進展により広く職場に導入されてきましたが、その作業に長時間従事する者の中には、身体的疲労や精神的疲労を感じるものが高い割合に上るとの調査結果などがあり、労働衛生上の問題も指摘されています。
厚生労働省「職場のあんぜんサイトより」
また、子どもは大人よりもブルーライトに対して多少敏感であるとの報告もあります。
オンライン授業を長時間受けることによる、子どもへの影響
目への影響
ブルーライトは紫外線の次にエネルギーが強く、目の水晶体や角膜で吸収されることは少なく網膜にまで直接届いてしまいます。
目の中で網膜の果たす役割は、カメラで例えると“フィルム”のようなもので、ブルーライトを長時間見続けると、網膜の中心にある黄斑(おうはん)が傷ついてしまいます。ブルーライトで視細胞が酸化することで、黄斑の老化に関係すると言われています。
黄斑の傷つきが進行すると、目の様々な病気を引き起こしてしまう恐れが高まるといわれています。加齢黄斑変性は、加齢とともに増加傾向にあり、高齢者の失明の原因として4番目と言われています。
目の働きの中で角膜の果たす役割は、カメラで例えると“フィルター”のようなもので、ブルーライトを長時間見続けると、顔面の三叉神経が刺激され、圧迫されます。
あまりに圧迫され続けると、目に強い痛みが走ったり、目の裏がズキズキするような感覚に襲われることがあります。
肩凝りへの影響
ブルーライトが目に与える影響は、目だけには留まりません。
ブルーライトはとても刺激の強い光なので、ずっと見ているとチラつきや眩しさを覚えることが多くなります。
そうすると、目は瞳孔を縮めようとして目の筋肉を駆使します。
目の筋肉を酷使することで眼精疲労や目の痛みを引き起こしますが、それだけではなく肩凝りや首の凝りなどを引き起こす原因にも繋がります。
ブルーライトによるストレスが頭痛の要因という報告も多く、緊張型頭痛の要因ともなります。
睡眠への影響
長時間ブルーライトを浴び続けていると、人の体は「朝の太陽の光だ」と勘違いすることがあり、メラトニンという眠気を誘うホルモンが分泌されにくくなります。
その結果、人間が体内に持っているといわれる体内時計に狂いが生じて、自律神経の乱れなど、身体に様々な不調をきたします。
自律神経が乱れると、眠りが浅くなったり、寝つきが悪くなったりします。
精神への影響
ブルーライトはとても明るく強い光なので、目の網膜から脳へと直接ダイレクトに伝わります。
この伝わり方が強すぎるため、アドレナリンやコルチゾール、セトロニンなどのホルモンを刺激してしまいます。
これらのホルモンが刺激され分泌されると、心の状態や精神状態に悪い影響を及ぼしてしまうことがあります。
なんだか妙に疲れやすい、落ち込みやすい、わけもなくイライラする、といった症状が出たり、ひどい場合はうつ病を引き起こすこともあります。
そのほか
肌への影響、体内時計の乱れによる病気発症、などがあります。
オンライン授業への対策
ブルーライトの光を極力減らし、子どもへの影響を最小限に抑えるためにはどのような方法があるのでしょうか?
ブルーライトを浴びすぎないための対策を【私たち親ができること】と【子ども本人が心掛けること】の二つに分けて紹介します。
私たち親ができること3つ
1.食事管理
ビタミンCおよびビタミンEが、青色およびUV-A光による毒性ストレスから水晶体上皮培養を保護し、ヒトの白内障形成を遅らせる可能性があるといわれています。
ビタミンCにはビタミンEの活性を高める働きがあるので一緒に食べると効果的です。
ビタミンC
●野菜
赤パプリカ、黄パプリカ、青ピーマン、ゴーヤ、ブロッコリー、カリフラワー、きゃべつ
●果物
アセロラ、キウイフルーツ、オレンジ、柿、いちご
●その他
レバー、たらこ、玉露
ビタミンE
●野菜
かぼちゃ、大根の葉、赤ピーマン
●魚
鮎、にじます、うなぎ
●ナッツ類
アーモンド、落花生
●その他
サフラワー油、菜種油、唐辛子、抹茶
2.パソコン・タブレットの設定
・ディスプレイ画面の明るさを下げる
・ブルーライト軽減アプリをつかう
明るさを下げることにより、ブルーライトの量を減らせるので人体への影響を抑えることが出来ます。
一番かんたんな方法ですが、オンライン授業の画質などの関係上、ディスプレイ画面の明るさ設定の変更や、ライト軽減アプリの使用は、授業の効率が悪くなることもあるのであまりオススメできません。
3.ブルーライトカットフィルムを使う
パソコンやスマートフォンのディスプレイ画面に、ブルーライトを軽減する専用フィルムを貼る方法もあります。
これは一度張り付けてしまえば、明るさを調整する必要もないですし、次にご紹介する専用メガネをかける必要もないので、とても気軽で確実な方法であるといえます。
たとえば、こんなフィルムです。
子ども本人が心掛けること③つ
①PC専用のメガネを使う
ディスプレイ画面の調節をする必要もなく、手軽にブルーライトをカットすることができます。
PCメガネをかける場合は注意があります。
ブルーライトは集中力を向上させる性質があるので、オンライン授業にPCメガネは逆効果になります。
ですが、PCメガネは、目の疲れ、頭痛の軽減などのメリットをもたらせます。
JINやZoffなどでも度なしPCメガネがあります。
メガネ専門店であれば、アフターフォローなども安心ですよね。
②オンライン授業の時以外にしっかりと太陽光を浴びる
ココロとカラダの気分転換が必要。オンライン授業に集中するために気持ちのリフレッシュをしてください。
③寝る前のパソコンやスマホの利用を控える
朝に見るブルーライトは体内時計をリセットしますが、夕方以降、とくに睡眠前にブルーライトを見てしまうと、体内時計が狂って睡眠に影響がでます。
まとめ
いかがでしょうか。
私たちなないろラボは「メディアに関する子どもへの身体的・精神的な影響について」日ごろから学校や講演会などでお話をしてきました。
今回、新型コロナウィルスによる休校のしわ寄せが思わぬところに、こんな形で子ども達に降りかかってきたことはとても残念です。
しかし今、私たちができることは、新型コロナウィルスからもメディアからも子ども達の健康を守り、未来につないであげることだと思います。
この記事が、オンライン授業開始に関して不安に感じている保護者の方々の力になれたら幸いです。
今回は以上です。
さいごまでお読みいただき、ありがとうございました。